■絶対少年26頼りなく豊かな冬の終わりs川崎美羽伊藤和典c望月智充d木村隆一g関根昌之

うわー、壮絶に腑に落ちない最終回。
これ、一つの結論をばらばらにして、登場人物みんなに別々にしゃべらせるという作りを採用している気がする。それだけに、構成を改めて、う〜んと考えないと理解できない。(ワタクシがバカなのかもしれないですが。バカです。)
頭で考えないと理解できなくて、当然感動的っぽい劇中の登場人物それぞれの言動も腑に落ちない。何にこだわって、何に感動して、どう考えて、どう行動するのかってところが直感的に見えないってのは、非常にツライデス。


また、キサの物語が最終回のキモだったんだけど、前回書いたように、いろんな人々の葛藤に埋もれてしまったのと、表面の現象だけで、その悩みの根源が十分に描かれてこなかった為に、この最終回、キサの再出発の物語的感動が不発におわってしまっていると思いました。


全般的に、理が勝ちすぎているというか、普通以上によく考えてシナリオ作っているような気がするのですが、頭で考えた構成で終わってしまったような気がシマス。
もっと、情に訴える物語であった方がよかったかも。


しかし、抑えた音楽、淡々とした演出、ディスカッションが主体で、その積み重ねで何かを語ろうとした試みは素晴らしいです。特に前半は、田園風景と試みが、良くマッチしていて素晴らしかったと思います。キャラクターも前半の方がよかったかも。


ところで、前半は、後半のわっくんの役割を果たすアユムというキャラクターを作り出すだけに存在していた様にもみえちゃうんですが・・・・・・後半と前半の断絶に意味はあったのかと言うと微妙な気がした。せっかくの13話分のキャラクターの積み重ねがほとんど放棄されちゃっているし、もったいないような。



◇以下メモ。
○この回、強引に整理してみると。
・まず主題は、①自然の不思議な現象にふれ、②自分がその現象を選び取ったのだと悟り、自分が人生の選択すらできないダメな女の子じゃないとキサが心を開き、孤立からコミュニケーションの世界に戻ってくるまで。


①さて、その不思議な現象とは、いままで対立する存在と思っていた、寒色系と暖色系の存在が、実は、同じ現象の別な側面であり、二つでひとつだということ。「光と影は対立しない。両方でワンセットだから」(アユム)
キサにとっては、ポーちゃんやブンちゃんは、対立存在に破壊されたのではなく、本来あるべき姿、場所にもどったのだという気づきをもたらした。
・そして、寒色系と暖色系の「対消滅する」壮麗なビジュアルに触れて、「世界は私たちが思っているよりも遙かに、複雑で豊かで不思議に満ちている。こんな思いがけない形でそれを見せつけられたら変わらざるをおえないですよ。」(画家さん)とキサも感得したにちがいない。


②なぜ、ブンちゃんや、ポーちゃんは、キサの所に現れたのか。それは、
「ムリして我慢した思いってどこ行くんだろう。彼女から溢れたマイナス思考は一体どこに行くんだろう」「きっと思いは形になるんだよ」(マッキー)ってことで、
「そうかあたしが望んだからブンちゃんも、ポーちゃんも、こっち側にあたしの所にきてくれたんだ。」(キサ)
何も選択できないダメな自分を悲しむキサにとっては、自分が選んでいた思いがけない選択だったと改めて気が付く。(・・・・だと思うんだけど、ホントにこれが選択か?)


○アユムくんとスカワラさんのディスカッションは、本筋とはあんまり関係ない。唯一、重要な結論、寒色系と暖色系は、争っているのではなく、「対消滅みたいな自然現象じゃないかなって。」を導き出すためだけに意義があった。
○マッキーとリエゾウの対話
「リエコちゃんはいつも光の中にいるから、同じ女の子だったらうっとおしい。キサはいっつも影の中にいる。どっちにしてもどうなのかなと。」
「(私たちが)同じだっていうの。」ということで、二人の関係が以前より親しくなりつつあることを示しつつ、光と影が実は一体だという、本作のテーマを補強。


○3組が別々にディスカッションしていて、最終的に同じ結論に至ったかのような演出(かとおもっちゃった)は、実体的にあまり意味はなく、別々の会話から、アユムの結論を言葉遊び的な連続で補強するための演出。


・・・・・疲れた・・・・