■魍魎の匣01天人五衰の事s村井さだゆきc&d中村亮介g西澤千恵g補青木美穂レイアウトg西澤千恵濱田邦彦総g西田亜沙子

監督:中村亮
シリーズ構成:村井さだゆき
原作:京極夏彦
◇どういうワケか、京極夏彦さんは全作品をスルーして生きてきたので、どこまで原作に依拠しているのか、ノリに沿っているのかわからんのですが・・・・先の期待できる耽美的でスリリングな第1話。桜が乱れ散る昭和27年の春先から始まる舞台も幻想的に仕上がっています。面白かった。


◇男のような言葉遣いだけど知的で気品がある女子学生(カナコ)。彼女が、人の良い、劣等感のかたまりである同級生(ヨリコ)に相互が対等な存在であるかのようなファンタジーを語り聞かせ、自らの無条件な崇拝者を作り上げるあたりのギリギリ感が堪りません。
天上の存在に憧れる余り、ヨリコが母親をケガレの象徴として毛嫌いするところなんて泣かせるよ。


◇このギミックが、ラストのカナコの投身によって、彼女を崇拝するヨリコの中に狂気を結実した様子が、妄執に染まった熱に浮かされたように演出されていて、次回がとっても気になります。
カナコ自身による天人五衰の劇中説明を上手く利用して、ヨリコが不意に彼女の死を悟るあたりもヨカッタ。


◆◆以下メモ◆◆
「ああ!その時の私の胸の高鳴りはどんなだったでしょう!クラスの誰よりも聡明で、クラスの誰よりも気高く美しいカナコが、他の誰でもないこの私に声をかけてくれたなんて・・・」(ヨリコ)


「楠本くんは、天人五衰という言葉を知っているかい?(・・・)天女はね、下界の人間のように苦しんだり悲しんだりしないのさ。・・・でも、そんな天女でもいずれは衰え死んでいく。・・その時の兆しを言うんだ。(・・・)まず、頭上の花葛がしぼむ。次に衣に垢が付く。脇の下から汗が出る。目がくらむ。・・・そして、何だか楽しくなくなる・・・。」(カナコ)


「カナコは母さんみたいに汚くない!かあさんみたいに醜くならない!月の光を浴びていつまでも年をとらないんだ!かあさんなんかに分からない。私はかあさんみたいに年老いていくのはいやなのっ!」(ヨリコ)